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  • 2019/07/03
  • 2019/07/02
  • 株式会社bajji Founder&CEO 小林慎和

Facebookが発表したLibraから、これからのブロックチェーン・仮想通貨業界をどう読むべきか

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株式会社bajji Founder&CEO 小林慎和氏による連載『ブロックチェーン・仮想通貨革命は、世界をどう変えていくのか?』がコイン東京にてスタートします。

第一弾は現在話題を集めているFacebookの仮想通貨「Libra(リブラ)」についてです。Libraはブロックチェーン・仮想通貨業界にどのような影響を及ぼすのか。

LastRoots時代に日本初のICOの成功・パブリックチェーンの仮想通貨の開発・取引所の運営を行っていた小林氏にはどのように見えているのでしょうか。

FacebookのLibra(リブラ)は仮想通貨なのか

2019年6月18日、Facebookが新規仮想通貨(暗号資産)を発行すると、多くのメディアが報じた(以下、本記事では、仮想通貨を用いる)。それに対して、即日、米下院住宅金融委員会のマキシン・ウォーターズ議長(民主党)が、開発の中止の声明文を発表した。先立つ6月9日のG20でも、仮想通貨に関する声明が出された。

このような報道を聞くにつけ、筆者が思ったのは、そもそも仮想通貨Crypto currencyとは何か、ということだ。

記事の多くは、2017年後半から2018年1月まで、急騰による熱狂を産んだものを仮想通貨と総称し、それをFacebookが始めるような心象を与える見出しが躍った。一方、G20などの政府機関がらみの記事では、AML(アンチマーネーロンダリング)関係の論点が少なくない。

Libra(リブラ)とは

ここで、今一度、Libraの位置付けと意義を整理し、これからのブロックチェーン・仮想通貨業界を占ってみたいと思う。

まず、Libraが、ブロックチェーンか、仮想通貨かと、問われたら筆者は、Libraはブロックチェーンでも、仮想通貨でもないと答える。これは何をブロックチェーン・仮想通貨と呼ぶか、その定義に依存するわけだが、ここにおいて、人、専門家、各国などにおいて、統一した定義はまだないと考えている。

ブロックチェーンの真髄は、非中央集権(Decentralized)であることだと捉えている。基本的にオープンソースで、その改変、アップデートを司る中央集権機構は存在せず、参加者の民主的な議論によって、維持、発展していく。OSのLinux(リナックス)も、ウィキペディアも同じくDecentralizedに運営されていると言える。

Libraは、facebookを筆頭に、MasterCard、Uberなど、名だたる企業29社が参加するAssociationが開発、運営していくと発表された。発表当日、私はLibra coreをさっそくダウンロードして、テストネット上で送金などを行ってみたが、ここには、ブロックチェーンの真髄である、非中央集権(Decentralized)性は皆無と感じられた。

技術力と資金力がある世界中(主にアメリカ)のIT企業が徒党を組んで「中央集権型の第2の世界銀行」を作ったとしか思えない。ただ、筆者はこれが良くないとは思わない。それによって、いまだ銀行口座を持たない途上国の人々が豊かになるサービスが提供できるのであれば(Libraホワイトペーパーが謳うように)、むしろこの革新的なサービスを推進して欲しいと思う。

では、Libraは仮想通貨かという点だが、上記でNOと言っているものの、ここは微妙なところだ。ビットコインやイーサリアムと思想を同じくする流れでいけば、こうしたコンソーシアム型のものは、仮想通貨と言い難いが、仮想通貨取引所で取引可能となる時点で、仮想通貨と分類されることもまた事実。決済で活用可能かという点では、LibraやUSDTのようなステーブルコインの方が向いていることもまた事実である。

仮想通貨は、暗号資産と呼称が変更されたが、Libraの思想はむしろ、「通貨性」を重視しており、言葉で表現するならば国際企業間相互融通通貨と表現できるのではないかと思う。よって、Libraは、仮想通貨(暗号資産)ではないと筆者は思った。

仮想通貨革命がもたらしたもの

インターネット革命は、情報の境界線、国境をなくした。ネットを通じて、世界中の情報を手元のスマートフォンに表示できるようになった。ECサイトも、輸入規制のないものであれば、海外のECサイトからでも可能になる。

情報が国境を飛び越えやってきて、それに付随する、製品・プロダクト・サービスも、同じく国境を飛び越えてきた。この情報革命は、国境にとらわれない情報が世界中に拡散することによって、成り立っており、それゆえに、この20年ほどで、世界的な大企業が産まれる結果となった。

仮想通貨革命は、価値、バリュー、通貨性に境界線や国境をなくしてしまうものとなる。インターネット革命や情報革命のサービスの場合、その事業はあくまで各国の法定通貨に依存して行われており、各国の会計処理によって、政府がコントロール可能である。

ただ、ここにおいては、タックスヘイブンの国に本社機構を置くことで、節税対策をルールに則って、各社(アップル、アマゾン、アクセンチュアなどほとんどすべての企業)行なっている。納税から成り立つ各国政府は、各国政府が作り上げたルールを巧みに利用した企業との間で、制度設計と彼らの事業展開の工夫において競争が行われている。

Facebookの仮想通貨Libraとは

この状況に加えて、仮想通貨革命は、価値、バリュー、通貨性さえも国境をなくそうとしている。これは、各国政府の屋台骨を揺るがすことなのだ。

AML(アンチマーネーロンダリング)対策ももちろんあるが、最も大きなことは、事業、収益、納税、国政という通貨に下支えされた国の形そのものが、変わりうる事態なのだ。だからこそ、Libra発表当日に、米下院が即座に会長名において、開発中止の声明を出したのである。それゆえに、シリコンバレーも、そしてもちろんここ日本でも、この革命性が議論されているのだ。

いまの国の形、資本主義、株式市場、グローバル経済、これが組み上がってきたのはこの100年のことである。筆者もそうだが、産まれながらにこの仕組みで生きてきた人間にとって、いまの経済の仕組み、国家のあり方はある種、理想的なもの、もしくは当たり前で、変わらないものとして受け入れてきた。

それは1850年頃、江戸幕府による封建的支配が当たり前のものであり、変わらないものと当時の3000万人の日本人が思っていた構図と同じである。私たちはまだ、現在のこの世界の仕組みよりも、さらにより良い形が何なのか、それが資本主義という言葉ではなく、違う言葉で言われるようになる、その仕組みはもちろんのこと、その名前すら知らない。

しかし、今日現在、40億人がスマートフォンを持ち、どこからでも情報にアクセスが可能となった。スマートフォンの画面には、国境はない。1つの企業が20億人の個人情報を保有し、人数規模で、世界最大の国家をある種形成している。これほどまでに、情報に繋がり、それを自由に操れるデバイスが普及し、コンテンツも溢れかえった状態の世界が構築された、その前提条件があるうえに、「国境のない価値=仮想通貨」が広がろうとしている。

世界の仕組みが変わろうとしている。Libraによって、そのきっかけの大きな石が大海に放たれたと筆者は感じている。

これから起こるブロックチェーン・仮想通貨革命とは

冒頭、Libarは、ブロックチェーンでも仮想通貨でもないと申し上げたが、実はその定義などどうでもいいのだ。

非中央集権(Decentralized)性が、ブロックチェーンの真髄と述べたが、ビットコインもイーサリアムももはやDecentralizedは機能不全を起こしている。イーサリアムにおいては、PoSへの移管は遅々としてしか進まず、2年以上大きく遅れている。Decentralized性というのはテクニカルな理想卿であり、事業を推進していくためには、中央集権要素がなければ前に進まないことがここ2年で明らかになってきた。

一方、当初は、特定の個人や法人が産み出したものが、発展の過程でオープンソースとなり、Decentralizedなものへと変容していくタイプもある。世界中のほとんどすべてのICOは、イーサリアムをベースにしたプライベートトークンだが、当然ながら、そうではないICOも存在するし、まだ見ぬ形態のものも、今後産まれてくるだろう。

利用者保護の観点から、中央管理機構が必要という論調もあるが、世界第1位の仮想通貨に至っては、いまだ産みの親が誰なのかすら不明のままである。一方、世界に数十億人のユーザー基盤を抱えるLibraのような超巨大企業(連合)の場合には、利用者保護ではなく、国家保安の観点から懸念が飛び出してくる。

Dappやトークンエコノミーはどうなるだろうか。Dappを立ち上げ、そこで独自コインを流通させ、それを取引所に上場させる(価格急騰を目指して)。海外ならば取引所への上場は数万円から数十万円もあれば、簡単に実現可能であり、独自コインのトークンを製作することは、1分もあれば現在はできる(イーサリアムのトークンなど)。

独自コインを活用したトークンエコノミーの実現を目指すDappのほとんどの目論見の実現はかなり難しくなるだろう。そのDappというサービスそのものが発展し、ユーザーが求めるものでない限り、独自コインの必要性は皆無だからだ。サービスのグロースとコインとしての発展。この2つは、まったく性質の異なるものである。それに加えて、金融制度への対応が必須であり、その中でサービスとコインをダブルでグロースさせることは、至難の業である。

ブロックチェーンの当初の思想は、非中央集権(Decentralized)だった。ビットコインの始まりである、ホワイトペーパーには、Decentralized下でのP2P送金システムが謳われていたに過ぎない。そこには決済(settlement)性は考えられていなかった。極度のDecentralizedな環境は、物事が進まず、多数のハードフォークを産んでいく。純粋な意味でのDecentralizedが上手くいかないことを、我々はこの数年で学んだ。

では、これから起こるブロックチェーン・仮想通貨革命とは何なのか?

「国境のない価値」が産まれることによって、国家と企業と個人が、それに適応するべく、アップデートしていかなければならない。それが明らかとなった。それがFacebookのLibraの発表から、筆者が痛切に感じたことだ。


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