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  • 2019/08/09
  • 2019/08/08
  • 株式会社bajji Founder&CEO 小林慎和

分散型世界の実現とブロックチェーン技術の活用の狭間

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株式会社bajji CEO 小林慎和氏によるコラム連載
株式会社bajji CEO 小林慎和氏(Twitter @noritaka88ta)によるコラム連載『ブロックチェーン・仮想通貨革命は、世界をどう変えていくのか?』の第2弾は分散型世界について切り込んで頂いています。

・完全な分散型世界は本当に機能するのか
・分散型=無秩序とはならないのか


第1弾「Facebookが発表したLibraから、これからのブロックチェーン・仮想通貨業界をどう読むべきか」はこちらから

なぜこれほどブロックチェーンという技術または哲学は近年注目されているのだろうか。
分散型。非中央集権。Decentralized。

今回は、これまでのインターネット、そして、AIも絡めながら発展していくこれからのインターネットの流れのなかで、ブロックチェーンの位置付け、そして、分散型世界を論じてみたいと思う。

日本では7月21日に参院選選挙があった。投票率は50%を切るという過去最低の部類であり、その中でネット界隈では、れいわ新撰組の躍進が広く拡散された一方、自民党などの議席はほぼ変わらず、全体としては改憲勢力未達という状況に落ち着きました。国民一人ひとりが1票を持つ民主主義と、ブロックチェーンで論じられる分散型世界とは実は極めて似ているものなのです。

さらに違う例に広げていくならば、食べログなどのグルメ系サイトや映画紹介サイトにおいて利用者が投稿する評価の投稿、★の数。これもブロックチェーンで論じられる分散型世界と似た性質を持っています。

さらには、360度評価など、企業の中で行われる人事制度、人事評価。直属の上司だけでなく、部下同僚などまさに360度の複数の人材から得られる評価によって、一人の人事評価を行う仕組み。実は、これもまた分散型世界の産物なのです。

ブロックチェーンという言葉と共に注目を集めてきた分散型世界、非中央集権という言葉ですが、インターネットが広く普及し、一人ひとりのユーザーが、情報を発信・公開・アップロードできる能力を持った時点で、世界は分散型世界への移行を始めていたのです。

ここで改めて、分散型世界への移行とその中でのブロックチェーンの位置付けをみてみたいと思います。

縦軸の分類は、特にMECEを気にせず羅列しておりますので、その点含みおきください。

ブロックチェーンで最もよく話題にあがるのが、決済承認における分散型世界です。情報ではなく、価値(資産)の移転を、中央管理する機構(会社)がなくとも、それをその世界に参加しているノード間のP2Pのみの確認で、承認しようというものです。その対比として、クレジットカードや既存の銀行送金が挙げられると思います。

この表にまとめているように、実は分散型世界とは、ブロックチェーンだけのものではないのです。

繰り返しの紹介になりますが、人事における360度評価も、直属の部長などの上長が決めるのではなく、先輩同僚部下などのマネジメント層ではない人の意見も吸い上げ、その上で決定していく。情報収集の部分が分散型世界となっています。

グルメサイトの投稿もそうです。レビューが100件あり、全体で★が4.2のレストランがあったとしましょう。そのレストランは美味しいはずだという評価は、分散型世界に委ねているということなのです。上記の例であげたように、違う表現をすれば、それは、レストランの評価を民主化しようということになります。

マイニングマシーンは、ブロックチェーン・仮想通貨が動くハードウェア的基盤を分散保有する意味での分散型世界となります。マイニングマシーンを購入し、目当ての仮想通貨を掘る(マイニングする)と、その仮想通貨を得られ、それを取引所で売却することで収益を立てることが可能です。

ビットコインの場合、年間で約6000億円程度マイニングされ得る可能性があります。そうした収益機会が分散型世界の中にあります。つまり、誰にも管理されない非中央集権なので、誰でも許可なく始めることが可能となっています。

2013年などから数年流行した動画ポータルサイト。これは、コンテンツ(のほとんど)は、中央集権的に管理し作成しているが、その配信先のプラットフォームを分散化しようという動きになります。よって、それを分散型動画メディアと呼びました。

一方、その動画メディアのプロモーションについては、事業者が中央集権的にSNSやメディア(タクシーの動画配信プラットフォームなど)に配信することと、それを見たユーザーが、任意にSNS上で拡散していくバイラル機能の分散型世界の性質の両方をうまく組み合わせることで拡大してきました。


ここで、違う問いを立ててみたいと思います。

「完全な分散型世界そのものは、上手く機能するでしょうか?」

完全な分散型世界そのものは、本当に上手く機能するのか

ブロックチェーン(特にパブリックブロックチェーン)とは、という議論になった時、技術的な観点よりも、哲学的にそれは分散型世界を醸成しているかどうかが論点になりがちです。

中央管理者がいることは悪であり、それはブロックチェーンをブロックチェーンたらしめていないと。しかし完全なる分散型世界は、果たして理想郷なのでしょうか?

極めて優秀な部長による評価と、360度評価という完全な分散型世界ではどちらが正しいでしょうか?
極めて舌の肥えた友人一人による居酒屋の評価と、360人による★評価という完全な分散型世界ではどちらが正しいでしょうか?
強固なセキュリティで守られたネットバンキングと、360のノードが稼働しているパブリックブロックチェーンという完全な分散型世界ではどちらが正しいでしょうか?

このように書き連ねていくと、分散型世界は非常に危ういもののように感じてきます。

世界に数十億人のユーザーを抱える巨大企業が、個人の行動情報を蓄積しそれをブラックボックス化して運営していることと、データを解放し、分散型世界のプレーヤーによる相互監視によって改竄性を排除している状況では、どちらが一人ひとりの利用者の便益が増すでしょうか?

このように現在のソーシャルウェブを捉えた場合、巨大な企業による独占は、不都合しか産まないのではないかと思うようになってきます。

”分散型”と"無秩序"

分散化された意見の総体が常に正しいのであれば、ブロックチェーンを活用した分散型世界というものは理想郷になり得ます。

しかし、紀元前の時代から各国の歴史の中で、繰り返されてきました。民衆の叡智を活用する完全なる分散型世界、有能な指導者による独裁的に運営される世界、そして、その間に存在する様々な中央集権と分散型世界が混ぜ合わさった世界、そうした様々な社会の仕組みが試行錯誤され、今私たちが確実に分かっていることは、完全なる分散型世界は上手く機能しないのではないかということです。

ただし、それも人間による完全な分散型世界での意見は機能はしないが、多数のAIが総体としてアウトプットする分散型世界はひょっとしたら、機能するものが産まれてくるかもしれません。

Dapp(Decentralizedアプリ)が注目を集めています。そこにおける完全なる分散型世界とは、次のような世界となります。

ブロックチェーンはパブリック、不特定多数がマイナーとして参加可能、アプリのユーザーも不特定多数が参加可能、そのアプリ内で流通するものは、パブリックブロックチェーンに下支えされた仮想通貨(トークン)、ウォレット機能の開発、送金受金の自由、インセンティブとして配布されるアルゴリズムも民主的に決められていく。

哲学としてのブロックチェーンを追求した時、それが辿り着く分散型世界は、ただの無秩序な世界となります。おそらく、機能しなくなるでしょう。

一方、分散型世界をブロックチェーン技術を使わない領域で実現し、バックエンドのデータ処理を中央集権的にブロックチェーンを使うアプリも数多く世の中にはあります。プロモーションとしてはブロックチェーンサービス(ブロックチェーンスタートアップ)となり、積極的な事業展開が可能となりますが、そこにはブロックチェーン技術を活用する必然性はありません。

通貨性におけるブロックチェーンを活用した分散型世界の構築は、各国が定める金融規制を遵守することが必要であり、そのサービスが本来目指したい事業の拡大は一筋縄ではいかないことが多くなると予測されます。

2017年頃より叫ばれている、いわゆるトークンエコノミーをサービスを通じて実現することは、まだ実社会が追いついていないため極めて難しいと言わざるを得ません。そうした時、ブロックチェーンが革命として存在できる場所は、情報管理における分散型世界を実現するための応用しかないと、極めて暑い日々が続く2019年夏に、熱く私は考え事業を推進しています。


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