コロナショック以降順調に価格を戻していたビットコインですが、9月に入るや大きな動きを見せます。
8月17日に年初来高値である132万円台を付け、高値圏内で推移していた価格は9月2日、3日の2日間で約20万円ほど急落してしまい、一瞬100万円を割り込むのではと心配されました。
この急落については、様々な要因が噂されていますが、2日間で20万円も急落するというのはただ事とは思えません。
ビットコインに悪材料でも出たのか、あるいは、クジラからの大量の売りが出ているのか、非常に気になるところです。
これらの要因が見えてこない限り、安いと思ってもビットコイン、あるいは、他のアルトコインに投資するのが怖くなってしまいそうです。
今回は、9月2,3日の2日間でビットコインが急落した理由を解明し、9月、10月以降のビットコイン相場に関して大胆に予測してみました。
ビットコイン創世期には、マイニング(採掘)という言葉から見ても理解できますが、ビットコインは金(ゴールド)と似たような役割を持つといわれており、新時代の「デジタルゴールド」と呼ばれることもありました。
ところが現実には、ビットコイン相場は長い間にわたり金相場と相関することはなく、「デジタルゴールド」とは名前だけという感じでした。
しかしながら、2020年に入り上昇トレンドを見せていたビットコインは、安全資産と呼ばれる金相場や銀相場などと非常にリンクした動きを見せています。
下記のチャートを見てください。
チャートは、金先物相場の日足チャートにビットコインの日足チャート(青色のライン)を併せたものです。
実は、2020年に入ってからは、金、銀、プラチナ(白金)などの安全資産相場とビットコイン相場には相関関係が見られていました。
コロナショック以降も、ほぼほぼリンクして動いており、金相場の動向も見ながらビットコインのトレードをしていた投資家も少なくはないでしょう。
ところが、2020年8月7日に金価格が史上最高値を更新するや、相関関係に若干の変化が見られるようになります。
金相場は史上最高値からさすがに急落しますが、ビットコインはどれほど大きくは下落せず、8月17日に年初来高値である132万円台をつけています。
そして、9月2日、3日にビットコインは約15万円ほど急落するわけですが、チャートを見ればわかりますが、金相場などはそれほど大きくは下落していません。
金、銀、プラチナ相場はそれほど下落していないのになぜビットコインは大きく下落したのか、こう思った人は多いでしょう。
安全資産として、ともにリスクヘッジ投資に利用されることの多い金、銀、プラチナやビットコインですが、9月に入ってから相関関係が薄くなっているのには大きな理由があります。
その理由こそが「Nasdaq市場の急落」と考えられるのです。
米国のNasdaq市場の急落がマーケットを混乱に陥れています。
コロナショック以降に、いち早く回復したNasdaq市場とは、ご存知のようにGAFAM(最近ではGAAMA?)などのハイテク株中心のマーケットのことで、コロナ以前の価格どころか9月入りするや史上最高値まで更新しています。
ところが、9月2日から急落し、コロナショック以降では最大の下げ幅を記録することになりました。
以下のチャートをご覧ください。
チャートは、ビットコインの日足チャートにNasdaq指数の日足チャートを重ねたものです。
見ての通り、ビットコインの急落は、Nasdaq指数が史上最高値を付けてからの急落とほぼ同じタイミングで始まっています。
ちなみに、Nasdaq市場は急落していますが、ニューヨークダウやSP500はそれほど下落していません。
つまり、ハイテク株関連が暴落した相場であり、これに相関して下落したのが、金や銀、プラチナ相場ではなくビットコイン相場であったという事実は非常に重要です。
なぜ、ハイテク株の急落にビットコイン相場は相関したのでしょうか?
これを知ることは、今後のビットコイン相場を見ていく上で大変重要なポイントとなるかもしれません。
まず考えられるのは、ビットコインは「デジタルゴールド」と呼ばれるように、鉱石である金、銀、プラチナとは異なり、次世代テクノロジーとも呼ばれる「ブロックチェーン」などを利用した通貨であるということがあります。
ただし、これだけで急落相場にリンクした理由としては分かりにくいでしょうね。
簡単に言ってしまえば、GAFAMなどのハイテク株を大量に保有していたヘッジファンドなどのNasdaq市場のクジラが、ビットコインを売ったということです。
どういうことかというと、通常のヘッジファンドの場合には、リスクヘッジ(安全資産)として金(ゴールド)を中心に投資しますが、ハイテク株系のヘッジファンドの場合には、金とともに「デジタルゴールド」としてのビットコインも大量にリスクヘッジとして購入していたのです。
つまり、Nasdaq市場の暴落により、ビットコインの利確が自動的に行われたことで急落が起こったと考えられます。
そして、Nasdaq市場が急落した大きな原因として、最近ニュースで大騒ぎとなっているソフトバンクグループのコールオプション買いが指摘されているわけです。
2020年9月に入るや史上最高値を更新したNasdaq市場ですが、実はその直前からNasdaq市場の異変を指摘する声が上がっていました。
Nasdaq市場に発生していた異変とは、2020年の8月後半に大量のコールオプションが購入されていたという事実です。
コールオプションとは、将来的に価格が上昇すると予想する場合に、将来の上昇した価格を購入する損失限定の権利(オプション)のことで、このコールオプションが大量に購入されたことから多くの投資家がNasdaq市場の上昇を予測したのです。
ところが、その直後の9月6日に英国のFT(フィナンシャルタイムズ)が、衝撃的なニュースを報道します。
そのニュースこそが「ソフトバンクグループがNasdaq市場で大量のコールオプション買い」というもので、様々な憶測を呼ぶことになります。
ソフトバンクグループといえば、ヤフーやアリババの投資で大成功した会社として有名ですが、最近では、ウィワークやウーバー、アームへの投資の失敗により経営不安もささやかれているところでした。
このことからソフトバンクが大博打を打ったのではとの報道が多く、あたかもNasdaq市場の暴落はソフトバンクグループのコールオプション買いがその原因ではと噂されました。
結論から言うと、ソフトバンクグループのコールオプション買いが要因でNasdaq市場が暴落したわけではないでしょう。
ただし、上記チャートのようにNasdaq市場の下落とタイミングを同じくしてビットコイン相場は15万円ほど下落しています。
前述したように、ハイテク株中心のヘッジファンドなどが、安全資産として投資していたビットコインを利確したのであれば、今後のNasdaq市場の動向は注目しておく必要があります。
巷では、現金に困っているソフトバンクグループがコールオプションというデリバティブ商品で大博打を打った、というお話がまかり通っていますが、果たして本当でしょうか?
今回の投資を実施したのはソフトバンクグループの子会社であり、投資しているのは元ドイツ銀行出身の一流トレーダーチームと言われています。
将来的な利益に期待してコールオプションを購入するのは、少額の資金で一獲千金を狙うという投資手法ですが、個人投資家ではあるまいし、一流トレーダー集団がそのような投資をするわけはありません。
実際には、ソフトバンクグループの子会社は、大量のハイテク株(Apple、Netfrixなど)を保有しており、十分な含み益が確保できたことから売却に動いたものと思われます。
とは言え、大量の株式を売却に出すと、噂が広がり市場が急落してしまう可能性があります。
ソフトバンクグループの子会社としては、なるべく誰にも知られずに売却したかったのであり、それに利用したのがコールオプション戦略だったということになります。
この戦略は、博打でも何でもなく、機関投資家やヘッジファンドではよく利用される手法です。
ソフトバンクグループがコールオプションを購入することで、コールオプションの受け手(多くの場合に機関投資家)は、保険として対象株式を大量に購入する必要が出てきます。
つまり、ソフトバンクグループの子会社が取った戦略とは、大量の含み益を持つAppleなど株式を安全に売却するために、コールオプションを購入したということです。
コールオプションは保険というわけで、仮にNasdaq市場が9月以降も上昇した場合には利益が出ますし、逆に下落していったとしてもコールオプションでは損失は限定されますので、膨大な含み益で簡単にカバーできるという仕組みです。
実際には、もっと複雑な手法が取られているはずです。
つまり、ソフトバンクグループの子会社のコールオプション買いが、Nasdaq市場を暴落させたということではなさそうです。
上記のように、ソフトバンクグループのコールオプション買いがNasdaq市場暴落の要因ではなさそうですが、とは言うものの、史上最高値を更新してからの急落だけに、Nasdaq市場のチャートの形はいったん崩れてしまったように見えます。
ソフトバンクグループだけがコールオプションを購入していたかのような報道が多いのですが、実は他の多くのヘッジファンドも同様にNasdaq市場のコールオプションを購入していたということです。
ハイテク株中心のヘッジファンドがリスクヘッジとして投資していたビットコインを利確したのであれば、再度、Nasdaq市場が反転する場合には同じように自動的にビットコインが買われる可能性もあります。
9月13日時点で、ビットコインは112万円台まで戻してきています。
このまま一気に戻していくのか、あるいは、Nasdaq市場の動向にしばらくは相関して動くのか注目されるところです。
Nasdaq市場のチャートを見てみましょう。
Nasdaq市場は、先週末には9月9日の安値を何とかサポートしましたが、9月14日以降にここを割り込むようだともう一段下落する可能性があります。
MACDは依然として弱い傾向を見せていますし、ボリンジャーバンドのバンド幅も徐々に拡大傾向を見せています。
もうしばらくはNasdaq市場は様子見というところでしょうか?
2020年11月3日に米国大統領選挙が行われますが、大統領選挙の年は株価が高いというアノマリーがあります。
2016年のトランプ相場は記憶に新しいところですし、オバマ1期目の2008年9月に発生したリーマンショックの年でさえ、大統領選挙後から株価は反転上昇に向かっています。
そのリーマンショックから12年後のコロナショックでは、すでにリーマンショックを超えているともいわれていますが、前述のようにNasdaq市場では史上最高値を更新しています。
ポイントとなるのは、米国FRBの金融政策で、リーマンショックから大規模な金融緩和策が実施されることとなり、株価は10年以上にわたり上昇相場を形成することになります。
ちなみに、この時期の日本では相変わらず金融引き締め策が取られており株価は低迷したままで、2013年末のアベノミクスによる金融緩和策まで株価は低迷したままでした。
そして2020年、コロナショックにより先進各国はこれまで以上の金融緩和策を実施しており、世の中は史上まれに見るような金余り状態が続いています。
このような状況下、11月3日の大統領選挙後には株価は大きく上昇する可能性を指摘する声も多く、米国の金融政策に変更でもない限りは、株価の上昇は今後も継続する可能性が高そうです。
つまり、Nasdaq市場のハイテク株も調整が終了したら再度上昇相場を形成する可能性が高く、だとすると、リスクヘッジとしてのビットコイン買いが始まる可能性があります。
2020年8月27日、米国FRBのパウエル議長は非常に重要な発言をしています。
すでに大規模な金融緩和策を実施している米国ですが、これまでFRBの金融政策の指針として見られてきたのは米国の失業率です。
つまり、失業率が高くなると金融緩和、逆に失業率が低くなると金融引き締め策が取られるという方針でした。
ところが、8月27日の講演でパウエル議長は、これまでのFRBの方針を一時的に変更し、仮に失業率が低くなったとしても金融引き締めは当分の間は行わないと発言したのです。
Nasdaq市場の史上最高値更新は、この発言があったからと考えるほうが論理的であり、この発言を予測して多くのコールオプション買いが入った可能性があります。
つまり、株式市場にとって最も大きな下落要因であるFRBの金融引き締め策が、一時的とはいえ当分の間は行われないということで、大統領選挙に向けて、あるいは選挙後に株式市場が上昇する可能性は非常に高く、ビットコインにもヘッジファンドからのリスクヘッジ買いが大量に入る可能性があります。
ビットコイン、仮想通貨相場には12月は高いというアノマリーがあります。
2020年も12月に向けてビットコインをはじめとする仮想通貨相場が上昇する可能性は非常に高いといえそうです。
40代男性。大手証券会社、大手通信会社の経営管理を経てセミリタイヤ。職務経験から、広く事業や経済動向、株式・先物・為替市場に精通。長らく株式トレードを行い、暗号通貨は2017年から。仮想通貨だけでなく、ビジネスや世界マーケットを絡めた視点から大人の分析ができるビジネスマン。
ビットコイン(BTC)は強い上昇を見せ、9月中旬推移の価格帯へ…
コイン東京編集部 KAZE 2020/09/25
リップル(XRP)は下値更新の値動きを見せる中、反発を見せるの…
コイン東京編集部 KAZE 2020/09/25
売り圧力の低下、取引所へのビットコイン入庫量が減少傾向-Cr…
コイン東京編集部 2020/09/24
イーサリアム(ETH)は下落後揉み合いの値動きへ!イーサリアム…
コイン東京編集部 KAZE 2020/09/23
リップル(XRP)は直近安値から反発を試みる展開に!リップル(X…
コイン東京編集部 KAZE 2020/09/23
米ナスダック上場のMicroStrategy、「ビットコインは金よりも…
コイン東京編集部 2020/09/23
世界初のビットコインETFがバミューダ証券取引所(BSX)に年…
コイン東京編集部 2020/09/22