米国サウスダコタ州の適格カストディサービス企業Kingdom Trustは10万クライアントから120億ドル(1兆2000億円)を超える資産を保管するカストディアンです。クライアントには、運用指定型個人退職積立勘定(IRA)、確定拠出年金(401k)、ファミリーオフィス、投資顧問、アドバイザリー、ブローカー・ディーラー等の機関が並びます。
28日のリリースによると、Kingdom Trustは当初4つの仮想通貨の保管サービスを開設していました。現在ではBTC、BCH、XRP、BTG、ETH、ETC、LTC、ZEC、XLM等、30種類以上のコインに対応しています。
信頼性のあるカストディは、仮想通貨の採用に重要なハードルとなっており、特にその保険はカストディに重要な要素の一つです。
野村資本市場ウィークリーによると、投資運用会社ブラックロックは世界の80行を超える銀行からカストディサービスを利用しています。主要なカストディアンは、BNYメロン、JPモルガン、ステートストリート。これら4行はグローバルなシステム上、重要な銀行(G-SIBs)に該当します。
9月27日、ウォールストリートジャーナルの著名な仮想通貨記者ポール・ヴィグナ氏は、CNBCの番組に出演して、確立された実績と安全性を備えたカストディソリューション無しで、ETFまたは同様の投資媒体がSEC(米証券取引委員会)に承認される事はありえないと語っていました。
米国では、「カストディルール」で知られる1940年の投資顧問法のSEC規則206条(4)-2に基づき、顧客の資金と証券を保管するSEC規制下の投資顧問会社は、顧客の資金をカストディルールの要件通りに管理しなければなりません。
仮想通貨の保有に関心のある米国の機関投資家は、適格なカストディサービスを提供できると保証されているSEC登録機関のみを安心して利用できます。このカストディの課題をクリアすることで多くの機関投資家の資金が解放されて、仮想通貨価格を引き上げることにつながると期待されています。
今年6月にブルームバーグは、米国ベースの仮想通貨取引所サークルとコインベースの両方がカストディ提供に向けてSECと交渉中だと報じました。
SEC適格カストディサービスとして最初に認定されると最も期待された企業はウォレットサービスプロバイダーのBitGo社でした。BitGoは2018年1月25日に、適格カストディと主張するKingdom Trust買収の契約締結を発表していました。しかし、2018年5月24日にBitGoはこの買収契約を取りやめ、独自の適格カストディを構築すると表明しました。
Kingdom Trustによると、同社は現在のSEC規制を厳格に遵守しており複数の投資商品を取り扱う資格があると主張しています。ホームページによると、同社はサウスダコタ州銀行部門には認可されています。しかし以下の情報からSECの認可は得ていないと考えられます。
SECによると、「特定の投資顧問会社に関する情報は、SECの投資顧問公開開示(IAPD)プログラムを通じて入手できます。証券会社、個人ブローカー、投資顧問会社、個人投資顧問会社に関する情報は、各州の証券監督機関を通じて入手することもできます。」と紹介しています。カストディアンのデータもここに含まれます。FINRAのブローカーチェックプログラムも左様です。どちらにもKingdom Trustの名前はまだ記載されていません。
世界大手の保険組合で再保険市場である英国のLloyds of London(ロイズ)の裏付けを得られたKingdom Trustの今後のSEC認可、そして仮想通貨市場への機関資金の流入が期待されます。
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20代男性。都内名門高校卒業後、ベンチャー企業を経てコイン東京へ。二次元好きのセミプロゲーマー、好きが嵩じて仮想通貨やDappsゲーム、ブロックチェーン技術の世界にハマる。ゲーム知見と理数的素養から、最新の技術もカバーしつつ、プロジェクトの情報収集や分析を最も得意とする。