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  • 2018/09/01
  • 2018/09/01
  • コイン東京編集部 アオ

国際送金SWIFT社のレポートでモジャループに協力したと記載、リップル社との競争は?

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数日前、ソーシャルメディアRedditなどで、リップル社やビル&メリンダ・ゲイツ財団が昨年立ち上げた「モジャループ(Mojaloop)プロジェクト」が話題になりました。国境間支払いの新興企業リップル社と利害が対立する、国境間送金メッセージングSWIFTが発行した最近のレポートにMojaloopが言及され、関係が示唆されました。2社とMojaloopはデジタル通貨時代の重要なプレイヤーです。コイン東京は彼らの関係性を調べてみました。

モジャループ(Mojaloop)プロジェクト

2017年にリップル社がビル&メリンダ・ゲイツ財団と提携して、API決済のDwolla、セキュリティ企業など複数の金融機関と立ち上げたプロジェクト。世界中で20億人と推定される銀行口座を持たない(アンバンク)人々に、相互運用可能(Interoperability)なデジタルマネーを提供するイニシアティブです。オープンソースソフトウェアを介して金融機関、政府当局・モバイル事業者を連携。ワンストップな決済を目指す。ビル&メリンダ・ゲイツ財団は資本提供の他、Crosslake Technologiesと密に協力して、開発者用ソフトウェア等を用意した。

モジャループの相互運用性(Interoperability)を実現する技術の根幹は、リップル社が開発したILP(インターレジャープロトコル)です。ILPは異なる台帳にまたがって支払いを送信するオープンプロトコル方式で、支払いデータを共有する普遍的なフォーマットになります。

スウィフト(SWIFT)とリップルの対立構造

SWIFT(設立国際銀行間金融通信協会)は200か国11,000機関の間で金融メッセージングサービスを提供。1973年設立の非上場の非営利型株式会社で、取締役会には各国金融機関役員が名を連ねます。

今年春にスペインのサンタンデール銀行が、2012年設立の新興企業リップル社の「XCurrent」を採用。銀行の顧客はブロックチェーンベースのメッセージングシステムにより、数秒で通貨間の資金の移転を調整できるようになった。フィナンシャルタイムズは「毎週新しい金融機関が顧客として加入している。」と語るリップル社を取り上げ、2018年6月の記事でSWIFTの挑戦者として紹介しました。

“通貨間で資金を送金する点で、スウィフトの基盤となる伝統的なコルレス銀行システムよりも、ブロックチェーン(分散型台帳技術)の方がはるかに迅速で安価で確実になり得る。”

一方SWIFTもメッセージングシステムを改良し、ブロックチェーン技術について独自に導入する意向を示唆。8月30日、メディアGTRはSWIFTがアジア太平洋地域における国境を越えた迅速な支払いをテストすると報じた。これは同社のGPI(国際決済イノベーション〉サービスの改良版で、30分以下で支払いをクリアできると見込まれています。

2社の共通の目的「相互運用性(Interoperability)」

6月20日にSWIFT社が発表した全40ページの調査レポート「アフリカの決済:取引フローにおける洞察」で“Mojaloop”に協力した事を示唆しました。このレポートはSWIFTの国境間決済におけるアフリカ市場の成長性を分析、SWIFTが今後アフリカの決済・送金市場を取りに行く大望を表現しています。

資料においてMojaloopが登場したのが、24ページ「相互運用性:次のステップとしてアフリカのモバイルマネー」です。このページでSWIFTはアフリカにおいて銀行を“介していない”モバイル決済市場を分析し、同社の戦略を示唆しています。そしてSWIFTはMojaloopについて以下のように述べています。

「ビル&メリンダ・ゲイツ財団の私たち(SWIFT)のチームは、Mojaloopというオープンソースソフトウェアの開発を手伝いました。このソフトウェアは、検証、ルート、銀行、加盟店を含む多様なプレーヤー間の支払いを決済する。」

「一般市民のための次のステップは...相互運用性を達成すること。アフリカでは地域間の強い関係があるため、国境を越えた支払いを可能にする国規模の基盤があります。Mojaloopのようなツールを使って、各国は大陸外の決済銀行を必要とせずに地域内商取引を強化し、推進することができます。」

〇Mojaloop記載の抜粋 出典;Africa Payments: Insights into African transaction flows

ビル&メリンダ・ゲイツ財団の貧困対策部門副所長Kosta Peric氏は、昨年11月にAppDeveloperMagazineでMojaloopについてインタビューを受けています。

Peric氏は23年間SWIFTに従事、SWIFTNet*のチーフアーキテクトを務めた人物です。さらに金融業界共同のSWIFTイニシアティブ「Innotribe」を率いました。*SWIFTNet;現在8,000の銀行と1,000の企業を結びつける、世界的なセキュアなネットワーク。

SWIFTは公的・私的に関わらずアフリカの市場を見据えています。特に相互運用性(Interoperability)の点では、一般市民のモバイル決済のアクセス経路に狙いをつけているようです。以下の動画にあるように、Mojaloopはユーザーにとって一括して異なる金融機関に送金できる利点があります。一方で参加する金融機関に「日々発生する数億円規模のトランザクションを取りこぼしている」状況を打開できる利点があります。

“キャッシュがデジタルになるとこれらの状況は全て変わります”


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