ビットコイン(BTC)のスケーラビリティソリューションとして、オフチェーン・トランザクションを可能にする第二階層技術「Lightning Network」は、昨年、大きな進歩を遂げました。しかし、開発が遅れている点は、BTCアドレスとLightningアドレスに互換性がない事がネックになっています。これは、BTCアドレスーLightningアドレス間の直接的な資金移動が不可能であることを意味します。
現在、この資金移動はユーザーのBTCアカウントにLightningの資金を移す、という一工程を実行することで機能しています。Lightningネットワークは、BTCネットワーク上のより多くのユーザーに対応し、一方でコストを抑え、トランザクション速度の向上を目指しています。
Lightning Labs(ラボ)の開発者アレックス・ボスワース(Alex Bosworth)氏は、この非互換性の問題を解決するために「Submarine Swaps(サブマリン・スワップ)」というソリューションを提案しました。この相互運用性ソリューションは、Atomic Swaps(アトミックスワップ)からインスピレーションを受けており、オフチェーンのLightningとオンチェーンBTCプラットフォーム間のシームレスな資金移動を目的としています。Atomic Swapsは、仲介者を必要とせずに、異なるブロックチェーン間でデジタル資産の取引を円滑にする技術です。
「Submarine Swaps」は現在、テストのパイロット段階にあり、既にメインネットに統合されています。ボスワース氏は、Submarine Swapsがまだ開発段階にある事を強調して、現時点での使用にはリスクが伴う事を警告しています。
Testing has started on mainnet submarine swaps. Talking with partners who want to be a part of deploying swap providing liquidity, integrate swaps into their platforms, and help complete mainnet hardening dev work. Still lots to build but it’s more fun to try on mainnet #reckless
— Alex Bosworth ☇ (@alexbosworth) 2018年8月8日
「Submarine Swapsのテストはメインネットで開始されました。流動性を提供するスワップ配置に参加してくれるパートナーの協力のもと、Swaps(スワップ)を彼らのプラットフォームに統合し、メインネットの開発完了に向けて役立てています。完成にはまだ沢山ありますが、メインネットで試すことは楽しいです。」
現在、Submarine Swaps(サブマリン・スワップ)はBTCブロックチェーンからLightningネットワークへの資金移動(一方向)のトラフィックのみをサポートしています。開発者は逆方向の可能性にも取り組んでいます。さらに、ボスワース氏はこの技術を他の暗号通貨にも利用できるよう、将来的な展開を示唆しています。
開発者ボスワース氏は、Submarine Swapsのユースケースを複数提案しています。重要な点は、現行のLightningチャネルは「補充」する必要があることです。現在、Lightningネットワークのユーザーは、資金を保持したチャネルをセットアップする必要があります。新しいチャネルを設定する工程では、オンチェーン取引手数料がかかります。暗号通貨の利用者が増加するにつれて、この取引手数料も増加します。
この問題を解消するため、Submarine Swapsを使用して既存のチャネルを「補充」することで、オンチェーン資金と追加のオフチェーン資金を取引できます。
Submarine Swapsのクリプトからクリプトへの交換は、今後のゲームチェンジャーであると評価されています。
「Atomic Swaps(アトミックスワップ)」は、根底にある主要な技術として認識されています。しかし、スワップされた両方のデジタル通貨でLightningの有効化を必要とします。一方、Submarine Swaps(サブマリン・スワップ)では、片側でLightningが有効であれば利用できます。
この技術によりボスワース氏は、多様なコインをサポートしたいと考える開発者の作業を軽減できると考えています。同氏は今年初めにレクチャーを行い、さまざまなスワップを使って「Utopian Swap Future(ユートピア・スワップ・フューチャー)」について語りました。また、ユーザーがデータと“Lightning支払い”をトレードできる「HTLCswaps」についても語りました。
しかし、ボスワース氏はSubmarine Swapsの導入には、「多くの課題がある」と述べています。特にブロックチェーンネットワークの取引量が多い場合に。同氏は、「私のコンセプトは、携帯電話が辿ったようにスワップの提供も非常に安いものになるだろう、という物です。」と述べていました。
ボスワース氏はまた、スマートフォンを通じてSubmarine Swapsを簡単に実行できる未来を見据えています。
関連記事
20代男性。都内名門高校卒業後、ベンチャー企業を経てコイン東京へ。二次元好きのセミプロゲーマー、好きが嵩じて仮想通貨やDappsゲーム、ブロックチェーン技術の世界にハマる。ゲーム知見と理数的素養から、最新の技術もカバーしつつ、プロジェクトの情報収集や分析を最も得意とする。