COIN TOKYO

  • 2018/09/25
  • 2018/09/25
  • コイン東京編集部 新崎優太

ブテリン氏、ジーキャッシュ技術でイーサリアムの処理能力を3,200%高める提案

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イーサリアムの共同創設者であるVitalik Buterin(ヴィタリク・ブテリン)氏は、プラズマなどのセカンドレイヤー技術を使用せずにトランザクション効率を約3,200%高めるスケーリング・プランを提案しました。

ETHのTPSを15から500に

開発者ブログ「ethresear.ch」に投稿したブテリン氏は、プライバシー型の仮想通貨ジーキャッシュ(ZEC)の革新的技術を利用して、イーサリアム(ETH)のトランザクションの "質量確認"を実現できると述べた。

提案された技術「ZK-SNARKS」は、ノードをリレーして「実行することなく、計算の正確性だけを検証」または「何が実行されたかを知る」ことを可能にします。リレイヤーは、以下の処理を実現します。

・取引を一括してバッチ処理
・ZK-SNARKを発行して有効性を証明
・ブロックチェーンに格納されたデータ量を大幅に圧縮
・すべてのトランザクションをオンチェーンに維持

ブテリン氏は以下のように述べています:

「ユーザーは2つのクラスに分かれます:(i)取引者と、(ii)リレーヤーです。リレーヤーはトランザクションからオペレーションセットを取り込み、それらをすべて一つのトランザクションに結合します。ZK-SNARKに有効性を証明させて、そのZK-SNARKとトランザクションデータを圧縮してブロックチェーンに配布します。リレーヤーは、取引者から報酬として手数料を受け取ります。」



「ZK-SNARKによる取引の質量確認は、うまくいけば、取引あたり1,000ガス以下にコストを削減することができる。オンチェーンのセキュリティ保証を伴った、約500tx /秒を実現する。」

ブテリン氏は、イーサリアムの現在の処理上限である約15トランザクション/秒(TPS)から最大500 TPSに向上できる可能性があると見積もっています。

これは、ネットワーク容量が3,200%増加する上に、Plasma(1*)やその他のセカンドレイヤー(第2層)スケーリングソリューションを補います。最終的に、第2層技術と並行して使用すると、スケーリングの改善はさらに顕著になります。

暗号をメインストリームにするためにスケーリングが必要

イーサリアムが大量アダプション(普及)を望む場合、スケーリングの改善は重要です。イーサリアム上で実行される分散アプリケーション(dApp)は、利用者増加に苦しんできました。平均的に500人を超えるユーザーが利用するアプリは、分散型取引所など一部に限られています。

特定のdAppに大規模なユーザーベースが集中されると、イーサリアム・ブロックチェーンは途端に詰まり、ガス料金が急騰します。これはCryptoKitties(クリプトキティズ)で昨年12月に発生しました。キティズのピーク時には、1日あたり約14,000人のユーザーが集中。イーサリアムネットワーク全体の取引能力を著しく低下させました。

今年7月には、注目を集める中国の仮想通貨取引所FCoinが、イーサリアムのERC20に準拠したプロジェクトの中から、得票数の多いコインをFcoinGPMに上場させる投票企画を開催。結果として割高な大量の取引が急増し、イーサリアムネットワーク全体のガス価格の上昇と取引承認の送金詰まり(未承認トランザクション)を引き起こしました。

さらに8月初旬、イーサリアム(ETH)上のギャンブルDAppである「FOMO3D」とそのコピーゲームのために、ETHを無数に送信する事態が発生。イーサリアムネットワークの帯域を圧迫して、全ユーザーの手数料(ガス)を引き上げました。

他のプロジェクトもスケーリングの課題に独自に対処しています。イオス(EOS)は、委任されたノードによるステークオブステーク(DPoS)のコンセンサス・プロトコルに基づき、1秒間あたり数百万件のトランザクション処理を実現する予定です。

(1*)プラズマ:メイン・ブロックチェーンから第2層へ大半のトランザクションを移動することで、セキュリティを維持しながらネットワーク容量を増やす技術。


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