プライバシーコインであるBeamが導入する「ミンブルウィンブル(MW)プロトコル」は、元はビットコインに対する改良案であり、機密性とFungibility(代替可能性)を向上させる一方で、拡張性を高める実装です。このコンセプトは、2016年7月発行のホワイトペーパーで紹介されました。
Beamはミンブルウィンブルを実装する最初のプロジェクトになる予定です。BeamのCEO、Alexander Zaidelson氏は以下のように述べています;
「私たちはミンブルウィンブル・プロトコルの優雅さに魅了され、これがビットコインであるべきだと理解していました。トランザクションの機密性の欠如とスケーラビリティの低さは、暗号の採用を妨げる大きな問題です。」
Beamはこの機密性を提供しつつ、さらに、ビジネスユーザーが必要に応じて金融取引を税務当局または監査人に報告できる可監査性(Auditability)を備えています。ユーザーは、可監査性のレベルと開示性を選択できます(Opt-in Auditability)。
「機密性と拡張性をコアに、その上で大量に取引可能な機能を構築できるプラットフォームを構築できると感じました。広く採用され、最終的には金融を真に分散化し、パーミッションレスにするという、クリプトの大望を実現する大きなチャンスを提供します。」とZaidelson氏は述べています。
Beamは、2018年3月にプロジェクトをキックオフ。9月にブロックチェーンを開設しています。1月のメインネット開設時には、3種類のデスクトップ・ウォレット、及びアンドロイド版モバイルウォレットを備えている計画です。
ミンブルウィンブル(MW)プロトコルの匿名性は機密取引(Confidential Transactions)の概念に基づいています。機密取引は、送付するコインの量を当事者以外に見えなくする仕組みです。Zaidelson氏は以下のように説明します;
「他の多くの仮想通貨とは異なり、Beamブロックチェーンはすべてのトランザクション履歴を保持するわけではありません。代わりに、トランザクション毎にそのUTXOsと“トランザクションカーネル”という小さな情報のみを保持します。カーネルを使用して、UTXOの現状の有効性と、すべての人の[仮想通貨]が有効なトランザクションから発生した事が証明されます。」
MWは、残高を管理する仮想通貨アドレスがなく、代わりに、未使用のトランザクションアウトプット(UTXOs)を制御する一連のキーを保持します。トランザクションを実行する際、ユーザーは2つの新しいアウトプットを作成します。1つは転送したい仮想通貨の量を送信し、もう1つは残された残高をストア、そしてそれらの公開キーを取引相手に渡します。
2つのキーを受け取った当事者はこれらを変更します。その後、両方の当事者がトランザクションに署名し、それをパブリックチェーン上で検証可能にします。マイナーは正確なUTXOの取引量を見る必要なく、トランザクションを承認できます。このプロセスを、Beamはブログで以下のように例えています:
“アリスが、自分が所有している1箱の中にある価値をボブに譲渡したいとします。アリスは箱のシリアル番号とそれを開く組み合わせを個人的にボブに伝えます。ボブは自分の手の中に新しい空の開いた箱を持って部屋に入り、シリアル番号を持つ箱を見つけ、アリスから提供された鍵を使ってそれを開き、そして価値を取り出す。箱の組み合わせをリセットすることは不可能なので、ボブは自分が持ってきた箱に受け取った価値を入れ、自分の組み合わせを設定し、それをロックして部屋の隅に置きます。これまでアリスが所有していた空のボックスは破棄され、別の隅に配置されます。この後、ボブは部屋を出る。トランザクションが完了します。”
Distributedに対し、Beamは最新の2つのサイドプロジェクトを公表しました。
1つ目は「Project Lumini」と呼ばれ、Beamブロックチェーンをイーサリアム・ブロックチェーンに接続して、ユーザーが特定のイーサリアム・ベースのトークンで機密資産(Confidencial Assets)を作成する機能です。
機密資産は、そのトランザクションが正であると暗号的に検証でき、予期せず資産が作成、破棄、変更出来ない事を保証します。チェーン間接続は、ビットコインをERC20で利用できる仕組み「WBTC (Wrapped Bitcoin) 」と同様に、Beamをイーサリアム上で利用する仕組みと推測できます。
Project Luminiは、Beamとステーブルコイン「StableUnit」とのパートナーシップで進められています。Zaidelson氏は以下のように述べています。
「これにより、別のアセットタイプで機密取引(Confidencial Transaction)が可能になる。最初のユースケースはイーサリアム上のステーブルコインです。トークン化された資産、またはステーブルコインを使いたくとも、機密性を懸念してきた人にとって非常に有益です。」
2つ目のプロジェクトは「Beam Lightning」です。これは、ライトニング・ネットワークを統合するBeamの取り組みです。仮想通貨に基づいて高速のペイメント・チャネルの稼働が期待されています。
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