現状、ASIC性能のアドバンテージは強大で、経済力を有し、より高価な機械を購入できる大規模な事業者が、ハッシュパワーを占める状況となっています。
イーサリアムの暗号技術「Ethash」もまた、Bitmain(ビットメイン)のAntminer E3の出現により、ASICの影響を受けやすくなっています。
イーサリアム財団のHudson Jameson氏は、テストフェーズ中に大きなバグが発見されない限りProgPowは今後数ヶ月以内に統合すると主張しました。
反対意見は、イーサリアムネットワークからASICを排除すると、51%攻撃に必要なコストが大幅に低下すると主張します。なお、既存のEthereumハッシュパワー上のASICの割合は正確に評価されておらず、ProgPowの実装によってネットワークハッシュパワーが90%減少するのかどうかには、留意する必要はあります。
最近ロールバックが起きたイーサリアム・クラシック(ETC)ネットワークのハッシュ値は、イーサリアムの規模のわずか4.42%です。ETCの場合、1時間あたり5,000ドル未満のレンタルコストで、ハッシュパワーの51%以上を制圧できると試算されています。
大規模なASICハッシュが排除された後に形成されるGPUマイニング市場は、攻撃者にコスト優位なインセンティブを与える可能性があります。
さらには、純粋なASIC耐性は中長期的に持続不可能であると指摘されています。GPUよりも効率が優れた新たな専用マシンが開発されるという。
「分権化された」ネットワークとしてイーサリアムでは、参加者が自由市場を形成しています。ProgPowを導入しても市場競争の性質を避けることは困難です。
特に主要な既存のGPUメーカーであるNvidiaとAMDは、独自にProgPow版ASICを開発するのに最適なポジションにあります。皮肉なことに、ProgPowの実装は単に寡占力をBitmain社からNvidia社とAMD社に移す結果になるかもしれません。
コミュニティ主導の分裂のリスクを考慮すると、ProgPowが統合されても、一部のノードだけがアップグレードして、大部分のハッシュパワーが元のEthashチェーンにとどまるシナリオも想定できます。コミュニティと市場がどちらのチェーンを「正当な」イーサリアムと見なすか、という昨年ビットコインキャッシュで見た議論が再燃する可能性も指摘されています。
イーサリアムでマイナーの集中化による脅威が顕在化していない事を鑑みて、現状維持でロードマップに定義された「Serenity(セレニティ)」に進む方が安全と思えます。しかし、ProgPowの支持者達は、ASIC製造業者が「Serenity」への移行に反対して、恐怖、不確実性を突きつけていると主張しています。イーサリアムの最終形Serenityは、プルーフオブワークからプルーフオブステークへ移行します。
ただし、プルーフオブステーク(PoS)への移行は、2014年以来イーサリアムのロードマップに掲載されており、ネットワークの決定的な事実となっていることから、議論の余地がない性質を示しています。
先週、トラストノードはProgPoWチームが、「Nvidia社やAMD社と協力している。」さらには、「イーサリアムのチェーン分割を計画している」と、内部リークを基に報じました。真実か虚偽かは不明ですが、ProgPowアップグレードに関する疑念は、コミュニティのさまざまなメンバーに混乱を招くことになりそうです。
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