ダブルトップ/ダブルボトムとは、それぞれ相場の天井(高値)や底(安値)を知らせてくれるサインのことで、つまり、相場のトレンド転換を表すチャートの形です。
チャート上に、ダブルトップ/ダブルボトムが現れた場合、強いトレンド転換のサインとなることがありますので、しっかりとマスターしておきたいサインです。
ダブルトップ(ダブルボトム)など相場のトレンド転換のサインに気づくためには、投資の世界における大衆心理を理解しておくことが大切です。
ダブルトップ(ダブルボトム)によるトレンド転換の4つのポイントを見ておきましょう。
1. 相場の最終局面で出てくる高値(安値)更新を阻止する強力な売り(買い)圧力
2. ダブルトップ(ダブルボトム)や三尊(逆三尊)形成を狙う売り圧力
3. 高値(安値)更新の失敗によるロング(ショート)勢の利確
4. 天井圏(底値圏)でロング(ショート)した短期筋のロスカット
この4つのポイントとは、いずれも売り(買い)が出やすいところであり、1~4の流れでダブルトップやダブルボトムが形成されます。
1による売り(買い)圧力はどんな相場でも出てきますが、重要なのは、2の売り(買い)圧力が強いほど、3,4の売り(買い)が多く出てくるという投資家心理を知っておくことです。
それではダブルトップについて見ていきましょう。ダブルトップは「上昇トレンドが下降トレンドに転換する時」に見られるチャートの形で、M字になっているのが特徴です。
ダブルトップのチャートとは上記の画像のようなチャートです。注目すべきポイントは以下の通りです。
実際のチャートでチェックするとこのような形になります。今回はネックラインをブレイクアウトしているので、トレンドが転換した可能性が高いといえるでしょう。
もちろん、これがダマシで再び上昇トレンドに転換する可能性もありますが、トレードのセオリーとしてはトレンドの転換と判断します。
ダブルトップが出現した実際の相場を見てみましょう。
チャートは、5月前半のビットコインの1時間チャートです。
コロナショックにより、40万円台まで暴落した後の反発相場で107万円まで戻しますが、5月10日に20万円ほど急落しますが、その直前にダブルトップが形成されています。
最初の黄色い矢印で107万円台まで上昇しますが、2番目の黄色い矢印で103万円台まで反落、その後に戻します(3番麺黄色い矢印)が、107万円台を高値更新できずに反落していきます(4番目の黄色い矢印)。
3番目の黄色い矢印で、高値更新できない場合にはダブルトップが形成される可能性を見ておく必要があります。
予想通りに、高値更新できずに4番目の黄色い矢印で反落していきました。
このケースでのエントリーポイントは、2番目の黄色い矢印の安値(103万円台)となり、ここを切ったポイントがエントリーポイントとなります。このポイントのことをネックラインともいいます。
上記のビットコイン1時間チャートでは、いったんエントリーポイントを上抜きますが、すぐに再び下抜いて急落していきました。(三尊とみることもできます。))
上記のビットコイン1時間チャートのように、ダブルトップ同様に、トレンド転換を表すサインとして三尊天井(トリプルトップ)が出現することもあります。
実際の相場では、ダブルトップ、三尊と見分けにくい形となりますが、三尊はダブルトップよりも出現回数は少なく、より強力なトレンド転換サインとして重宝されています。
相場の終盤戦に差し掛かると、非常に多くのトレーダーがダブルトップや三尊天井のサインを血眼になって探すようになります。
続いてダブルボトムについて見ていきましょう。ダブルボトムはW字になっているチャートの形で、「下降トレンドから上昇トレンドに転換する兆し」といえるでしょう。
基本的にダブルトップと逆の形になるので、以下を参考にしてチャートをチェックして探してみてください。
実際のダブルボトムのチャートの一例は上記に掲載した通りです。ここで注目すべきポイントは以下の通りです。
こうしてチェックしてみると、前述のダブルトップの逆であるといえるでしょう。ネックラインをブレイクしたタイミングでトレンドが転換したと判断することができます。
もちろん、こちらもダブルトップの場合と同様にダマシの可能性もあるので注意してください。
チャートは、コロナショック時のビットコイン4時間チャートです。
3月13日、コロナショックによりビットコインは44万円台まで暴落相場となりました(1番目の黄色い矢印)
その後、株式市場の反発もあり2番目の黄色い矢印の67万円台まで反発します。ここがネックラインとなります。
ここから2番底となる51万円台(3番目の黄色い矢印)まで下落するものの、安値更新までは至らず、4番目の黄色い矢印となって反発相場を形成していきます。
エントリーポイントは、4番目の黄色い矢印がネックラインを上抜いたポイントとなります。
ここもきれいな形でのエントリーポイントとはなっておらず、その後にネックラインのところでもみ合いますが、徐々に上に離れていきます。
注目しておきたいのは4月16日の時点で、再び下落したビットコインですが、ネックライン(69万円台)がサポートラインとなって、ここから上昇トレンド出現となって上昇していきます。
ダブルボトムと逆三尊の違いは、基本的には、ダブルトップと三尊天井の違いと同じです。
重要なことは、下落相場の終盤戦になると、ダブルボトムや逆三尊を意識する投資家が増えてくるということです。
三尊同様に、ダブルボトムと逆三尊は同時に出現することもあります。また、逆三尊が出現した場合には、より強いトレンド転換サインと見なします。
ダブルトップ/ダブルボトムも他のテクニカル分析同様に「ダマシ」が発生し、トレンド転換と判断し逆張りしたところ、トレンドは継続しストップロスにかかるということもありえます。
それでは、この「ダマシ」を回避するためにはどのようにすればよいのでしょうか?
無論、投資に絶対はありませんので、他の投資手法と同じくフィルターを用いることで、より精度を高めるという方法があります。
具体的な事例で説明します。
上記のダブルボトムで使用したビットコイン4時間チャートです。
青色のネックライン(69万円台)の少し上に黄色いライン(71万円)があります。
この黄色いラインは、フィボナッチリトレースメント(2019年の高値と安値)の38.2%ラインとなり、4月以降はサポートラインとして機能しています。
つまり、この時点でのビットコイン相場では、70万円前後のところに厚い壁(サポートライン)が存在していたことになります。
この例のように、ダブルボトムの場合には、ネックライン近くにサポートラインが存在する時には、より強いトレンド転換のサインとなります。
同様に、ダブルトップの「ダマシ」を回避するには、ネックライン付近にレジスタンスラインが存在する場合が有効となり、より強いトレンド転換のサインとなります。
有名トレーディングツールのMeta Trader 5には、自動でダブルトップ/ダブルボトムを表示してくれるインジケータ「Double_Top」が存在しています。これを利用すれば素早くダブルトップ/ダブルボトムを発見できるので、ぜひ活用してみてください。
Double_Topを利用する場合はMT5をインストールした後に以下の手順で操作します。
これでDouble_Topのインストールは完了なので、実際に使ってみてください。自動でダブルトップ/ダブルボトムを検出してくれるようになるだけでかなりトレードの助けになるでしょう。
ダブルトップ/ダブルボトムは、日足・週足などの長期チャートのみならず、時間足や分足などのリアルタイムチャートでも見つけることが可能です。
とりわけ、長期チャート上で出現した場合には、長期トレンドの転換という大きな利益を上げるチャンスをものにすることができます。
テクニカル分析手法のダウ理論を併用することで、精度の高いダブルトップ/ダブルボトムを見つけることができるようになります。
こちらはダブルボトムというよりはトリプルボトムに近い形ですが、これから上昇トレンドに転換するのかダマシなのかの判断に迷うかもしれません。
ダウ理論では「安値・高値ともに切り上げれば上昇トレンドへの転換」というセオリーがあるため、それに照らし合わせて考えると今回は上昇トレンドに転換する可能性が高いと考えられるでしょう。
したがって、買いのエントリーを検討してみてください。
もちろん、ダブルトップの場合は逆に「高値・安値ともに切り下げれば下降トレンドへの転換」というセオリーが使えるので、あわせて覚えておきましょう。
今回は、相場のトレンド転換のサインとして出現するダブルトップ/ダブルボトムを見てきました。
他の指標同様に「ダマシ」も多く出ますが、他のテクニカル手法と別の時間足チャートと併用することで、トレードの勝率を上げるのに役立ちます。
また、長い時間軸でのトレンド転換を見極めた場合には、大きな利益を上げるチャンスともなります。
ダブルトップ/ダブルボトムに合わせて、トリプルトップ(三尊)/トリプルボトム(逆三尊)についてもチェックしておくことをおすすめします。
20代男性、都内有名大学卒業後、貿易会社を経て独立。前職中に暗号通貨にハマる。現在はweb関連事業を行う傍ら、仮想通貨やFXトレードも兼業。好きなものはガジェット、ゲーム、自転車。暗号通貨や相場のことを分かりやすく説明することを得意とする。