フィボナッチとは、数学の得意な方ならすぐにお分かりでしょうが、そうです、あの教科書に出ていた「フィボナッチ数列」のことで、イタリヤの数学者レオナルド・フィボナッチが提唱したものです。
フィボナッチ数とは、自然界の現象によく見られるものであり、花びらの数や、食物の花のや実に現れる螺旋の数もフィボナッチ数であることが多くあります。
相場の世界には、「相場は相場に聞け」という格言があるように、相場とは人知を超えたところにある。
つまり、自然の法則は人知を超えるところにあるということから、フィボナッチを相場で利用してみたところ、これが驚くほど有効であるということから、多くの投資家が利用することとなりました。
フィボナッチ数列で最も重要視される数字に「0.168」という数字があります。
この数値(比率)は、自然界の一つの法則とされており、「最も美しいもの」の比率といわれています。
例えば、エジプトのピラミッドやギリシァのパルテノン神殿といった建築物をはじめ、ミロのビーナスなどの芸術作品にも使われています。
また、私たちに身近なところでは、名刺のサイズ(縦横の比率)や頭のつむじなどにも見られます。
相場でフィボナッチ数列が使われる理由は、相場というものは森羅万象あらゆるものを織り込むとものといわれ、すべてを織り込むものであれば、自然界で最も美しい形、つまりフィボナッチ数列(比率)で表すことができるのではと考えられたからです。
フィボナッチ数列(比率)は、株式の世界で広まりますが、長期投資に有効なのはもちろん、FXなどの短期トレードの際にも有効に機能します。
フィボナッチ数列を理解することで、FXトレードにおいても、相場の反転のタイミングなどを事前に予測することができるようになり、有利にエントリーしたりすることが可能となります。
それでは、FXで利用するフィボナッチのインジケーターの種類をわかりやすく説明していきます。
この中で絶対に覚えておきたいのがフィボナッチリトレースメントとなります。
フィボナッチリトレースメントとは、簡単に言うと、過去の高値と安値の値幅にフィボナッチ比率を掛け合わせて、サポートラインやレジスタンスラインを探り出そうとするものです。
相場とは、一方向に進むことはなく、押し目や戻りを見せながら動くという習性があります。
上のチャートのように、予めフィボナッチリトレースメントを引いておくことで、反転する可能性のある価格帯を予測することができるのです。
上図のチャートは、ドル円の週足チャートで、アベノミス直前の安値77円台から、高値となった2015年6月の125円のフィボナッチリトレースメントです。
125円から下落して、ほぼ1年後の2016年6月に瞬間的に98円台まで下落していますが、フィボナッチリトレースメント50%ラインのところがサポートラインとなっています。
急激な下落から、今度は急激な戻しを見せて、半年後の2016年12月には118円台まで戻しますが、ここも戻しすぎという感じとなり、結局その後は、114円台にあるフィボナッチリトレースメント23.6%が強力なレジスタンスラインとなっています。
フィボナッチリトレースメントから判断できるのは、ドル円相場は、フィボナッチリトレースメント50%から23.6%内(101円台から114円台)の黄色い四角い部分の中のレンジ相場を形成しているということです。
現在、ドル円相場のレンジは徐々に狭くなってきており、年内から来年初頭にかけて、このレンジを抜いたほうに大きなトレンドを発生しそうなことも見て取れます。
トレンドが発生した後に、押し目をつけたり、戻しを入れたりしますが、その後トレンドが再開した際に、どこまで伸びていくかをフィボナッチ比率で予測するものです。
トレンドは「N字」に動く習性がありますので、最終的に到達する価格帯を予測できます。
フィボナッチアークとは、フィボナッチに時間軸を加えたテクニカル指標のことで、アーク(arc)は英語で円弧という意味になります。
直近の高値と安値を形成した時間に対して、これから先どの時間帯がサポートライン・レジスタンスラインになるのかを予測します。
相場が反転しやすいポイントを時間軸で計算するのがフィボナッチタイムゾーンです。
前回の上昇(下落)とトレンドはこれくらい続いたので、次はこの辺りでトレンドが発生するのでは、という時間的な可能性をフィボナッチ比率で計算します。
フィボナッチファンとは、トレンドラインを引き、そのトレンドラインを割った後に次ぎに反転するポイントをフィボナッチ比率で予測するラインです。
同じ起点から、角度の違う何本ものトレンドラインを引くというイメージです。
フィボナッチリトレースメントは、本当に役に立つ指標で、いくつかのポイントを抑えているだけで初心者の方でも簡単に使いこなせます。
これだけ覚えておいても役に立つという重要なポイントをわかりやすく、実際のビットコイン相場で説明します。
数学得意な方はここは飛ばしてもらっても構いません。フィボナッチの数値を簡単に解説します。
数学の教科書に出ていたこの数字から思い出してください。
「1,1,2,3,5,8,13,21,34、55、89、144・・・・」
このように永遠に繰り返される数列を「フィボナッチ数」といいます。
すでにお分かり方思いますが、この数列の特徴とは、連続する2つの数値の合計が次の数値になっているということです。
また、次が重要なポイントとなりますが、
・その数字を1つ後の数字で割ると、0.618になる
・その数字を2つ後の数字で割ると、0.382になる
・その数字を3つ後の数字で割ると、0.236になる
例えば、
89÷144=0.618
34÷89=0.382
13÷55=0.236
これはどこの数字をとってもこうなります。
この「0.618」「0.382」「0.236」の比率は特に重要なポイントとなり、「黄金比率」と呼ばれています。
この比率は上記で説明したように、自然の法則とも考えられ、「相場は相場に聞け」という格言通りに相場の世界にも大きな影響を及ぼしていると考えられます。
トレンドが強い相場の場合、フィボナッチリトレースメント23.6%と38.2%に注目します。
このトレンドが強いものであれば、フィボナッチリトレースメント23.6%もしくは38.2%のラインから反発することが可能性が高いという特徴があります。
実際の相場を見てみましょう。
チャートは2019年10月前半のビットコイン1時間足のチャートです。
10月7日の830,000円台を安値(起点)として、10月11日に95万円の高値をつけていますが、きれいなエリオット波動の上昇5波動を描いています。
この83万円台を起点として、第1波の高値8日の895,000円のフィボナッチリトレースメントを引いてみると、870,000円台にあるフィボナッチリトレースメント38.2%から反発しているのが見て取れます。
つまり、第2波を形成し、その上のラインであるフィボナッチリトレースメント23.6%を抜いたあたりから急騰して第3波を形成しています。
次に、フィボナッチリトレースメント50.0%もしくは61.8%で反転したら、トレンドは転換する確率が高くなるという特徴があります。
こちらは、リアルタイムのチャートで見ていきましょう。
執筆時点(2019年10月15日)で、ビットコインは90万円前後の価格となっています。
2018年12月安値350,000円台安値から、2019年6月末の1,500,000円台高値でフィボナッチリトレースメントを引いてみました。
7月1日に1,058,000円台にあるフィボナッチリトレースメント38.2%から反発するものの、高値を更新することはできず、1,430,000円台の2番天井をつけ急落します。
節目である1,000,000円前後でもみ合うものの、9月24日100万円台を割り込んで急落し、フィボナッチリトレースメント50%をも割り込みます。
現時点での価格は、90万前後ですから、フィボナッチリトレースメント61.8%ラインは守っている状況です。
ここから判断できることは、ビットコイン相場はフィボナッチリトレースメント61.8%ラインを守りれば反転上昇トレンドが発生する。
逆に、61.8%を割り込んでいく場合には、ここは何度も試されている価格帯でもあり、相当な売り物が誘発されることになると思われます。
こちらのチャートも執筆時点でのビットコイン4時間足のリアルタイムチャートです。
9月後半に何度かフィボナッチリトレースメント38.2%でサポートされたものの、9月末に明確に38.2%を割り込むと急落します。
そして、直近では、フィボナッチリトレースメント61.8%まで届くことはなく反発していますが、今度は、フィボナッチリトレースメント50%がレジスタンスラインとなっています。
このように、フィボナッチリトレースメントは同じトレンドで何度も機能することがよくあります。
フィボナッチリトレースメントは短時間でも十分に通用する手法と考えていますが、ローソク足の時間軸が長いほど機能しやすくなります。
非常に多くの投資家がフィボナッチリトレースメントを見ていますので、短い時間軸よりも長い時間軸のほうが多くの人が見ているということも影響しているでしょう。
短い時間軸の場合には、他のテクニカル分析と同じように「だまし」が多くなります。
フィボナッチリトレースメントは、より長い時間軸のほうが機能しやすいと説明しましたが、1分足でも機能するケースが多くあります。
典型的なケースとしては、指標発表後の動く相場の際などです。例えば、米国雇用統計の発表時などでは、短時間で大きく相場が動くことが多くあります。
この短い間で勝負する世界中の短期トレーダーの中には、フィボナッチリトレースメントを注目しているトレーダーも多く存在し、より機能しやすくなっています。
フィボナッチリトレースメントは、押し目や反転のポイントを見るのに役立ちますが、これは同時にサポートラインやレジスタンスラインサポートラインやレジスタンスラインとしても有効に機能することを意味します。
特に長い時間軸でのフィボナッチリトレースメントは、長期間にわたって何度もサポートラインやレジスタンスラインとなることもよくあります。
また、他のテクニカル分析のボリンジャーバンドや一目均衡表などの重要ラインとフィボナッチリトレースメントが被ることは多くあり、この場合にはさらに精度が高くなります。
フィボナッチリトレースメントを前日の安値から高値で引くことで、翌日の投資判断に有効となるケースがあります。
特にこの手法が機能するのは、前日・前々日とトレンドが継続しているケースです。
チャートは、ドル円のリアルタイム15分チャートですが、2019年10月10日の安値から高値にフィボナッチリトレースメントをひいたところ、翌11日には、フィボナッチリトレースメント23.6%で押し目をつけて反転、23.6%ラインを起点としてフィボナッチリトレースメント2.618%付近まで急騰しています。
フィボナッチリトレースメント単独でも充分利用価値がありますが、他のテクニカル分析と組み合わせることで、さらに有効に機能するケースがあります。
特に、エリオット波動とフィボナッチリトレースメントの組み合わせは相乗効果を発揮するものとして有名です。
フィボナッチリトレースメントの引き方は、トレンドの安値と高値を結んで引きます。
ここまで説明してきましたように、フィボナッチリトレースメントにはトレンドが発生した後に機能するという特徴があります。
従って、トレンドが発生する前に引くのではなく、トレンドが発生した後に引くというのが基本です。
フィボナッチリトレースメントのFXトレードにおける基本数値の設定は、0、0.236、0.382、0.5、0.618、0,786、1、1.618、2,618あたりまでで十分でしょう。
TradingViewのデフォルトでは、これに加えて、3.618、4.618まで設定されています。
フィボナッチリトレースメントの中でも特に重要な比率とは、0.236、0.382.0.5、0.618、0.786の5つとなります。
相場の世界には、3分の1戻し、半値戻しという言葉があるように、フィボナッチリトレースメントの中では特にこの5つの比率が重要であり、サポートラインやレジスタンスラインとなることも多くあります。
フィボナッチリトレースメントの起点はヒゲに合わせるのか、それとも実体(実線)に合わせるのか、始めのうちは誰しも迷うところです。
結論から言うと、答えはなく、まさに相場は相場に聞けとなるのですが、より有効に機能しているほうに合わせるとよいのではないでしょうか。
経験上は、ヒゲに合わせるほうが有効なケースが多いように思われるため、まず髭に合わせてみて、しっくりいかなければ実態に合わせるというのが良いでしょう。
ヒゲでは機能していないように思われたフィボナッチリトレースメントが、実態に合わせたところ、ぴたりとはまったということは結構あります。
MT4でのフィボナッチリトレースメントの使い方・設定方法を解説します。
MT4でフィボナッチリトレースメントを使うには、上部にあるタグの「挿入」~「フィボナッチ」~リトレースメント」をクリックし、トレンドの高値と安値を選択しクリックすると自動的に描写されます。
また、小さな赤い四角い部分(Fの字がついている)をクリックしても同じように利用できます。
MT4上の高値と安値を結んだ点線ラインをダブルクリックすることで「□」が安値、中央部分、高値に3つ確認できたら、選択状態となり変更・移動させることができます。
起点をずらしたいときには、起点部分の「□」を左クリックしたまま、高値または安値の位置に合わせてからマウスの左ボタンを離します。
MT4上にフィボナッチレベルを追加する場合には、上と同じように点線ラインをダブルクリックし「□」を左クリックし、「Fiboプロパティ」を選択します。
次に、「フィボナッチレベル」タブを選択し、横にある「追加」ボタンをクリック、表示されるレベルと説明にそれぞれ数値を入力し「OK」をクリックします。
レベルと説明に入力するのは、例えば、61.8%を入力するのであれば、レベルに0.618、説明に61.8と入力します。
フィボナッチリトレースメントを活用したFXトレード手法を解説していきます。
スキャルピングとは、「短時間の取引を繰り返して小さな利益を何度も取る」というトレード手法です。
このスキャルピングトレードでも、フィボナッチリトレースメントを利用することができます。
フィボナッチリトレースメントを利用したスキャルピングの場合には、15分~1時間チャートを利用します。
例えば、15分チャートを使う場合、前日もしくは2~5日の期間内での高値と安値を基準にフィボナッチリトレースメントを引きます。
これにより、現在の相場での反発しやすい地点を事前に予測することができます。
あとは、フィボナッチリトレースメントのどのラインでもよいので、±3~5pipsで逆張りエントリーします。
チャートは、執筆時点でのドル円15分のリアルタイムチャートですが、10月12日(金)高値と14日(月)安値を結んで引いたフィボナッチリトレースメントですが、多くのトレードチャンスがあることが見て取れます。
フィボナッチリトレースメントとは、押し目や戻しから反発する水準を見つけるのに有効であるという特徴がありますので、逆張りトレードで多く利用されることになります。
フィボナッチリトレースメントでは、38.2%ラインから反転すれば強い相場となり、また通常は、50%もしくは61.8%ラインから反発しますので、ここラインまでくるのをじっと待ちます。
上記のスキャルピングでも逆張りトレードとなりますが、スキャルピングの場合には小幅利益を目指しますので、基本的にラインは選ぶ必要はありません。
ただし、デイトレード・スイングトレードで利幅を狙う場合には38.2%、50%、61.8%ラインなどを選ぶのが良いでしょう。
もちろん、スキャルピングの場合でも、慣れてきたら損少利大で利益を大きく伸ばすことは重要ですので、ラインによっては利益を伸ばす必要性が出てきます。
まずは、フィボナッチリトレースメントの熟知することが大切ですが、その上で、他のテクニカル分析と組み合わせることで、フィボナッチリトレースメントはさらに利用価値が高まります。
よく知られているのは、エリオット波動との組み合わせですが、エリオット波動の第1波を確認できたら、第3波が最も伸びるという特徴を活用します。
調整局面となる第2波が、第1波の50%もしくは61.8%から反発に転じた場合には、絶好のエントリータイミングとなります。
ドル円の4時間チャートですが、執筆時点の10月前半の相場で、106円台から109円手前までの円安相場となっています。
10月1日の108円50銭を高値、第1波の起点である10月3日の106円50銭弱を安値にフィボナッチリトレースメントを引いています。
第1波動の高値はフィボナッチリトレースメント50%のところとなっており、また第3波動が伸びるという特徴を知っていれば、非常に有利な状況でのトレードが可能となります。
フィボナッチ手法は、基本的には相場の反発するポイントを示すものであり、前提条件として、相場が動いている、つまりトレンドが発生しているよう状況での利用がより有効です。
一般的には、レンジ相場のように動きの乏しい相場では使えないといわれています。もちろん、やり方はありますが、最初のうちは動きのある相場(トレンド発生時)での利用をおすすめします。
フィボナッチリトレースメントの61.8%って、いくらなの?
エントリーの際には価格水準までわかっておくと便利ですよね。エクセルを使って自分で計算することもできますが、お奨めはしません。
investing.comなどでフィボナッチリトレースメントを自動表記すると、比率の横に価格まで表示されていることがほとんどですから、その数字を見ればすぐにわかります。
ちなみに、investing.comで簡単に数字を入力するだけで計算することもできます。参考までに、ビットコインの35万安値、150万円高値でのフィボナッチリトレースメントの数字を載せておきます。
フィボナッチが学習できるおすすめのFX教本としては、「フィボナッチ逆張り売買法」をおすすめします。
Kinddle版でも4000円台と安くはありませんが、十分元は取れるはずです。
パソコンでは、ほとんど利用できるフィボナッチですが、スマホアプリでも利用できると大変便利ですね。
ところが、アプリでフィボナッチリトレースメントなどが引けるところはそれほど多くはありません。
スマホアプリでは、MT4 やGMOコイン「ビットレ君」のスマホアプリならフィボナッチが利用可能です。
40代男性。大手証券会社、大手通信会社の経営管理を経てセミリタイヤ。職務経験から、広く事業や経済動向、株式・先物・為替市場に精通。長らく株式トレードを行い、暗号通貨は2017年から。仮想通貨だけでなく、ビジネスや世界マーケットを絡めた視点から大人の分析ができるビジネスマン。