まずはじめに、そもそもWeb 3.0とはどのような概念なのかを見ていきます。これまでのWeb 2.0と異なるポイントや享受できるメリットなどを一通り確認しておきましょう。Web 3.0を簡単に説明すると以下の通りです。
この中で最も重要なポイントが「ブロックチェーン」です。この点について詳しくチェックしておきましょう。
2020年時点で主流になっているWeb 2.0では、中央集権的なサーバ上で運営されるWebサイトやWebサービスが大きな役割を果たしています。ほとんどのサービスにおいてデータがサーバ上で管理され、ユーザーはそこにアクセスして情報を収集したりサービスを利用したりしているでしょう。
一方でブロックチェーンには情報を一元管理するサーバは存在していません。ユーザー同士が相互につながり、多方向通信を実現しているのが大きなメリットといえるでしょう。
このブロックチェーン独特の特徴がWeb 3.0において重要なポイントになっています。
Web 3.0はWeb 2.0に信頼性を加えたものともいわれており、信頼性を担保するブロックチェーンの技術はWeb3.0の重要なポイントです。
次に、Web 3.0が普及するとどのような世界になるのか、どれほど私たちの生活に良い影響があるのかをご紹介します。
Web 3.0がオンラインの世界において果たす役割は大きく、Web 2.0で構築された仕組みを大きく変えるといわれています。
Web 3.0が普及した世界を考える上で注目しておくべきポイントは以下の通りです。
これらのポイントを1つずつ詳しくチェックしていきましょう。
「ブロックチェーンを利用した情報の分散管理」はWeb 3.0における大きな特徴の1つです。
2020年時点では検索といえばGoogle、SNSといえばFacebookやTwitter、EC事業といえばAmazonというように1つの企業や団体が大きな力を持っています。
特定のサービスに利用者が集中しているため、独裁的な権力を行使し検閲も行いやすく通信の自由が侵されやすいのがデメリットです。
中国がオンライン検閲のために利用しているグレート・ファイアウォールなどが1つの悪い例といえるでしょう。
Web 3.0ではほとんどの情報をブロックチェーン上で管理するため、1つの機関に情報が集中することがありません。検閲するのもほぼ不可能になるため、私たちのインターネット上の活動の自由が侵されるリスクも大幅に低くなるでしょう。
ブラウザやストレージ、WebサイトまでさまざまなものがDApps(分散型アプリケーション)化されることにも期待されています。
Web 2.0の世界では特定のOSごとにソフトウェアを用意しなければならないなど互換性の面で大きな課題がありました。クロスプラットフォームを謳っているサービスでも入り口となるソフトウェアが分かれているものがほとんどであるといえるでしょう。
Web 3.0ではブロックチェーンに接続できればソフトウェアやサービスを利用できるため、互換性の面で大きなメリットがあります。
私たちがサービスを利用する時、煩わしい手間なしに、色んなインターネットのサービスを楽しめるということです。
IoT時代における問題点を解決するのに役立つ技術です。
ブロックチェーンは改ざんが難しく、セキュリティを向上させるのに役立ちます。データそのものも分散管理されるため、特定の団体が不都合な情報を隠したり都合のいいように一部を変更したりするのは非常に難しくなるでしょう。
特定の場所にデータが保管されておらず、クラッキングのリスクから情報を守るのにも役立ちます。Web 3.0の世界では基本的に、情報を管理するのは私たちエンドユーザーの責任になるでしょう。
Web3.0の世界をさらに理解しやすくするために、Web3.0の代表となるIPFSという技術についてご紹介いたします。
ブロックチェーン上で流通する暗号資産を個人のウォレットで管理するのと同じような仕組みといえます。
Web 3.0を支える仕組みの1つに「IPFS(Inter Planetary File System)」と呼ばれるものがあります。こちらもWeb 3.0に関わる重要なものなので詳しくご紹介いたします。
簡単に言えば、私たちのインターネット上の様々なコンテンツをより安全に、自由に利用することが出来るようになるためのインフラとなるものです。
Web3.0の世界観でも解説しましたが、現在のWeb2.0のせかいでは特定の企業にデータが集中しています。
その弊害として、ユーザーの動向データを活用した広告を大量に生み出し、個人情報の乱用という議論、また結果更なるデータ量の増加からWeb上にあるデータ量の増加に拍車がかかってもいます。
IPFSという技術は現在のこれらの弊害を解決し、次のようなWeb3.0の世界を可能にします。
ブロックチェーンを補完すると言うのは、現在のブロックチェーンの弱点である「大容量のデータ保存」をIPFSなら解決することが出来るということを意味します。
そもそもブロックチェーンと言うのは大きなデータを保存するために作られたものではありません。
例えばビットコインの1トランザクションは0.3Bで、現在のビットコインのブロックサイズは1MBです。(これだとかなり短い動画ファイルのサイズです)
イーサリアムはというと、2020年6月現在のブロックサイズ平均で30KBほど(参考:https://etherscan.io/chart/blocksize)、これまでのデータ量を見ても3TB(テラバイト)ほどとなり、大容量のデータを保存する先と考えると、かなり小さいのが問題です。
今後ブロックチェーンでセキュアにデータをやり取りすることを可能にするには、このデータ容量の問題を解決する必要があるのですが、IFPSはその解決策になると考えられるのです。
ここまではIPFSという技術について、大まかな説明でしたが、具体的にどのような技術なのか、以下で詳しく解説いたします。
IPFSは分散型ファイルシステムで、以下のような流れで利用するものです。
IPFSはブロックチェーンを利用した分散型アプリケーションの1つなので、暗号資産のシステムなどと同様に改ざんするのは非常に難しくなっています。アップロードしたデータが改ざんされることを防げるのは大きなメリットです。
分散型ファイルシステムで中央サーバが存在しない分障害に強く、ネットワークにつながるデバイスが一度に全て失われない限り利用できなくなったり、データが失われたりすることを防げます。
ファイルシステムにおいてデータ消失は最大のリスクなので、分散型システムにすることで対策できるのは大きなメリットといえるでしょう。
そのため、IFPSはスタンフォード大学のゲノム解析プロジェクトのデータ保存や、AI自動運転自動車のためのオープン環境下でのデータストレージとしても活用されています。
ネットワークに接続したユーザー同士を経由してファイルをやり取りする仕組みであるため、検閲や通信遮断に強いのもメリットです。IPFSでは特定のユーザーが検閲対象になったとしても別のユーザーを経由してファイルを用意できます。
国家などによる検閲からデータを守れることも次世代のWeb技術として大切なポイントです。
中国では多くのインターネット上のコンテンツが政府によって検閲され、中国国内で見ることが出来なくなっています。
たとえその情報が正しいものでも、情報の共有が止められてしまうのがWeb2.0の世界ですが、Web3.0ではそれらが無くなるのです。
Web 3.0の開発・運用・普及に関わるプロジェクトがいくつか存在しています。
今回はその中でも特に注目を集める「Protocol Labs」についてチェックしておきましょう。
Protocol Labsは分散型クラウドストレージサービスのFilecoinで知られています。Filecoinは個人間で空きストレージのやり取りができるサービスで、対価は暗号資産で支払われます。
誰でも参入しやすく、Web 3.0やIPFSが普及するために大きな役割を果たすでしょう。
注目度が高く、最も期待されているプロジェクトといえます。
誰でも手軽に参加でき、報酬を受け取れるのは普及する上で大切なポイントです。なお、IPFSもProtocol Labsプロジェクトのひとつです。
今回紹介したWeb 3.0は次世代のWebアプリケーションを作る上で見逃せない技術です。分散型アプリケーションの作成や信頼性・耐障害性の向上など、Webがさらに発展するのに欠かせないといえるでしょう。
Web 3.0にはブロックチェーンが重要な役割を果たすため、一通りチェックしておきましょう。暗号資産の価値にも影響する可能性が高いので、今後の発展に要注目です。
20代男性、都内有名大学卒業後、貿易会社を経て独立。前職中に暗号通貨にハマる。現在はweb関連事業を行う傍ら、仮想通貨やFXトレードも兼業。好きなものはガジェット、ゲーム、自転車。暗号通貨や相場のことを分かりやすく説明することを得意とする。
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